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洋子ちゃんの10円玉
2016/10/29(土)
ある集会で、「洋子ちゃんの10円玉」というお話を聞きました。
ある教会の牧師さんが親のいない子供や、親がいても育てられない家庭の子、知的障害のある子供を預かっていました。その子供たちが15歳になると、ある試験を行うそうです。それは、「500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉の中で一番価値のある硬貨を選びなさい。」という問題。社会で生きていくためには、買い物や乗り物に乗る際など、お金の価値をしっかり理解をしていることが不可欠ということです。
その問題を問われた洋子ちゃんは、何度聞いても10円玉を選びました。指導員たちは、お金の価値判断がまだできないのだなと思いました。しかし、担当指導員があることに気付きました。洋子ちゃんのお父様は病床におられ、お母様はおられません。洋子ちゃんは1日の終わりに、必ずお父さんに公衆電話から電話をし、その日1日の出来事を話し、「お父さんは元気だよ。寂しくないか? 洋子は頑張っているね」とお父さんの声を聞くのが何よりも楽しみだったのです。当時の公衆電話は10円玉でしか、かけることができませんでした。洋子ちゃんにとって「一番価値のあるお金」は、何より、お父さんの声が聞ける10円玉だったのです。
私たちは、往々に一方からの見方しか出来ず、金額が高いものを価値があると思いますが、聞かれた人によって答えはそれぞれ違うし、10円には10円の役割が、1円玉には1円玉の役割があるのです。これからは多様化の時代。一方からだけの価値判断ではうまくいかない時代になってきたのだと思います。